研究概要 |
今年度実施した研究による成果は以下のとおりである。 1 Fスケール(力に対する志向度スケール)項目に対する応答傾向の国間での違いを項目特性曲線を描いて、視覚的に検討した。日本と米国間での違い、英語圏の中での英国とニュージーランドとの類似性など興味深い結果が得られた。 2 外国語としての日本語能力を自己評価する質問項目データに対して、DIF検出法の中からa) BILOG-MGによる均一DIF検出法,b) SIBTESTによるノンパラメトリック法,c) Thissenn他による尤度比検定法,を適用して、DIFが検出される項目の異同を検討した。一部異なる項目がDIF項目とされるものの、多くは方法に共通してDIFとされ、むしろ複数のDIF検出法を適用して、共通してDIFとされる項目をDIF項目とすることが望ましいことが示された。 3 複数のDIF検出法を適用するにしても、最終的にどの方法を適用するかについては、現在検討中である。 4 Fスケールは原文は英語であるが、表現の厳しさの異なる2通りの日本語訳を作成し、大学生を対象とする調査をパイロット・スタディとして実施した。その結果、言語表現が厳しい方の日本語訳では、「賛成」に回答する比率が低くなった。言語表現の細かい点にも配慮する必要性が伺われた。 2004年度は、法意識(政治意識)に調査分野をしぼることとして、「Fスケール項目」(16項日)および「社会規範意識項目」(14項目)の日本と米国間でのDIFについての詳細な検討に入る。
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