翻訳等価性を越える国際比較においてスケールを構成する質問群の等価性検証のためのDIFの応用につき、2005年度はパラメトリック法を中心に検討を行った。パラメトリック法によるDIF検出法は項目応答理論(Item Response Theory)にもとづくものであり、Lordのχ自乗手続、ThissenのLikelihood Ratio、統計ソフトウェアBILOG-MGのDIFコマンドといった方法がある。本研究においてデータに適応したのはBILOG-MGのDIFコマンドである。このパラメトリック法によるDIF検出法と、2004年度までに検討したノン・パラメトリック法との比較を通じて、DIF検出法が国際比較社会調査においても調査票に含まれる質問項目群の意味的な等価性を検討する際に有用であることをあきらかにした。 本研究の成果は下記のように発表した。2005年10月15-16日の「法と心理学会」(於立命館大学)にて「ロースクール学生の法意識日米比較の方法論的検討(2)-質問項目の翻訳等価性検出法の検討-」と題してポスター発表を行った。また、2006年3月5日〜11日にかけて野口・藤本両名がUniversity of British Columbiaに出張し研究会において「The Detection of DIF (Differential Item Functioning) in Comparative Survey」と題して報告を行った。この研究会には紛争行動における国際比較意識調査を行っているInstitute for Asian ResearchならびにLaw Schoolのメンバー、文化心理学の見地からやはり国際比較を行っている心理学部スタッフ・院生が出席した。これらの発表機会に得たコメント等も踏まえ、さらに分析を加えた本研究の最終的な報告書を現在執筆中である。
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