研究概要 |
第1実験においては,職業役割ステレオタイプとからめて,ジェンダー・ステレオタイプの活性化をSequential paradigmを用いて検討をおこなった.男女大学生を実験参加者として,プライム刺激として<女性vs.男性>×<キャリアvs.家庭>の4カテゴリー刺激を提示し,ターゲット語として<作動性vs.共同性>×<高vs.低>×<ポジティブvs.ネガティブ>の8カテゴリーの性格特性語をSOAを350msで見せ語彙判断課題を行った.第2実験では,同様のパラダイムを用いて,性格特性語の評価判断課題を行った.主な結果として,どちらの実験でも,男性的(作動性高/共同性低)ポジティブ性格特性語では,キャリアプライムをすると反応が速くなり,男性的ネガティブ性格特性語では女性参加者において,非伝統的性役割を持った人物(家庭男性/キャリア女性)をプライムすると反応が速くなるという結果が得られた.女性的性格特性語(作動性低/共同性高)では一貫した結果は見られなかった. 第3実験においては,男性大学生を実験参加者として,死すべき運命の顕現化の操作を行った上で,実験2と同様の方法を用いて,脅威状況下でのジェンダー・ステレオタイプの活性化を検討した.結果に関しては現在分析中である. 第4実験においては,女性大学生を実験参加者として,自己呈示の内在化パラダイムを用いて,ジェンダーステレオタイプの内在化の検討をおこなった.温かい自己を提示すると,共同性に関わる行動が増加することが示されたが,作動性に関わる行動が低下するという明確な証拠は得られなかった.この点については次年度において再度検討をおこなう.
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