研究概要 |
本年度は、データ収集と分析を中心に研究を行った。米国データに関しては、昨年度最終月(2004年3月)に、ハワイ大学経営大学院とコミュニケーション研究科および南カリフォルニア大学経営大学院を訪れ、本年度中にMBA大学院生と社会人大学院生に質問票を配布・回収してもらうように数人の教授に依頼した。合計96部を回収した。同時に、2004年11月に、米国の調査請負企業にアンケート配布と収集を依頼した。合計で529名からの回答を得た。日本での調査は、2004年4月〜5月にかけて、204社に約10部ずつの合計2,070通の質問票を郵送により配布し、各企業の正社員に回答してもらった。この204社は、都内の経営学関係の研修機関の各コースに社員を派遣したことのある企業のリストから抽出した。一人ひとりに返信用封筒を用意し、直接、調査者に郵送してもらった。423通を回収した。日米合計で1,048部の回答を得た(有効回答1008、日本417、米国591)。 データ分析の結果は膨大なものであったが、以下に新たな知見を簡潔に記す。日本人は、どのような文化的価値観と公平感受性を持つ従業員でも、ハード組織コミュニケーション戦術によって公正感が減じ、合理的組織コミュニケーション戦術によって公正感が促進されるので、米国人上司は、後者の異文化間組織コミュニケーション戦術を利用するべきである。そして、これらのコミュニケーションによって、一度公正感が促進されると日本人の動機づけは促進されることがわかった。米国人の動機づけに対しては,組織コミュニケーション戦術は直接的に効果がないが、会社人間価値観、自己主張価値観、権力価値観が強い従業員には、交換・約束および合理的コミュニケーション戦術の異文化間組織コミュニケーション戦術を利用し、まず公平感を促進することによって、間接的に動機づけを促進できることがわかった。
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