本研究は組織内対人コミュニケーションが、いかに従業員の公正感を促し、動機づけを促進するのかを日米間で比較することが目的の実証研究であった。日米従業員(米国は71のMBA学生を含む)を調査対象に、質問票により日米合計で1048の回答を得た(有効回答数1008、日本417、米国591)。データ分析は、重回帰分析により行った。結果の一部を以下に簡潔にまとめる。 (1)米国人の場合は、文化的価値観(自己主張価値観と自己責任価値観)と3つの組織コミュニケーション戦術が相互に独立して、公正感を高めていたが、日本人の場合は、文化的価値観の影響はなかった。 (2)米国人の場合は交換・約束組織コミュニケーション戦術が公正感を促進していたが、日本人の場合はその影響を示さなかった。 (3)日本人の場合、文化的価値観(不確実性回避価値観と会社人間価値観)と公正感は、相互に独立して動機づけに影響を与えていた。また、公平感受性価値観も公正感とは、相互に独立して動機づけに影響を与えていた。 (4)米国人の場合、自己主張価値観および自己責任価値観と動機づけの関係は、公平感に媒介されていた。 (5)日本人の場合、ハード、交換・約束、および合理的組織コミュニケーション戦術と動機づけの関係は、公正感にモデレイトされており、米国人の場合は、ハードおよび合理的組織コミュニケーション戦術と動機づけの関係は、公正感に媒介されていた。 (6)日本人の場合、交換・約束組織コミュニケーション戦術により動機づけが促進されていたが、米国人の場合は、その影響は見られなかった。 (7)公正感に関しては、文化が関係しており、組織コミュニケーション戦術を利用したときは、公正感を日本人よりも米国人の方が強く感じていた。動機づけに関しては、文化はまったく関係なく、ハード組織コミュニケーション戦術により動機づけが減じ、公正感により動機づけが促進されていた。
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