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2004 年度 実績報告書

学校教師における評価活動の教育心理学的調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 15530422
研究機関中部大学

研究代表者

梶田 正巳  中部大学, 人文学部, 教授 (70047231)

キーワード教育評価 / モニタリング / フィールドスタディー / 印象形成 / 演繹的思考 / 帰納的思考 / トップダウン / ボトムアップ
研究概要

学校における教師の評価活動をフィールドスタディーする過程で、とりわけ本年度は、非常に興味深い研究課題の大きな発展がみられた。先年度は中学校、本年度は小学校というように、教師の学校におけるさまざまな評価活動、すなわち、授業の中におけるモニタリングとしての評価からテストによる評価、さらには通知表や指導要録の評価などを調査研究主題としてフィールドスタディーし、観察かつ面接してデータを収集してきた。また、そのデータに基づいて質的な分析を試みてきた。それとともに本年度は、独立行政法人・教員研修センターの研修プロジェクトに参加し、現場における教員研修カリキュラムの中で、教師の評価活動を分析検討し、教師の評価能力の向上をめざす活動にも従事してきた。その結果、従来のフィールドスタディーのデータと研修プロジェクトにおけるグループ指導データの双方を活用して考察を進めていくと、以下の4点のようにまとめられる。
1)教師の指導と直結した評価活動、すなわち、モニタリングや通知表、指導要録などの評価は、観点別評価と評定の二つから構成されていることは周知の通りであるが、インタビューやフィールドスタディーから分かることは、観点という抽象概念的「カテゴリー」に準拠した評価であると位置づけられる。
2)カテゴリーによる評価活動は、教師が授業の中で自然な形で行っている評価活動との間に、ズレの存在することが明らかになった。例えば、授業におけるモニタリングとしての評価は、いわば社会心理学における「印象形成」のメカニズムと不可分であることがわかる。
3)児童生徒と直接接触する過程から生まれる印象形成としての評価は、必ずしも成績評価の観点であるカテゴリーと合致するものではなく、教師に固有のまとまり方をするものである。ズレの大きな原因は、固有のまとまりと概念的カテゴリーとの間に生ずる意味の乖離に求められる。
4)理論的に考察すると、カテゴリー(観点)に準拠した教師の評価活動は、演繹的思考、トップダウン思考として展開されるのに対して、教師がクラスの中で自然に行っている印象形成としての評価活動はボトムアップの帰納的思考として捉えることができる。結論的には、学校における教師の評価活動は、対比的な二つの思考様式のかかわりの中で遂行されるものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004 2003

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 個に応じた指導と評価2004

    • 著者名/発表者名
      梶田正巳
    • 雑誌名

      CS研レポート 53

      ページ: 13-16

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 授業の知-学校と大学の教育革新2003

    • 著者名/発表者名
      梶田正巳〔編者〕
    • 総ページ数
      254
    • 出版者
      有斐閣

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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