研究概要 |
PTSD(post traumatic stress disoders)の治療に最も期待されて登場した,EMDRは(eye movement desensitization and reprocessing)はそのメカニズムが,評価が高いわりには、不明である。より治療効果を高めるため、5つの実験研究を行い、以下の事柄が明らかになった。 1)EMDRは、治療期間が短く、一種のHypnotherapyではないかという疑問を解くための実験を行った。被暗示性尺度並びに一時的催眠被暗示性尺度とSUDs、VOC.更に各stageでのEEG power spectrumの変化を分析したところ何れも相関は極めて低く、EMDRはHypnotherapyとは全く異質である。 2)眼球運動の役割については、単なるWolpe流の脱感作や注意の同時配分不可理論だけでは、説明が困難であり、脱感作とセットになってもいる、急速眼球運動そのものにreprosessingの機能がある。 3)但し2)については、HEM(horizontal saccadic eye movement)が有効なのであって、眼球運動一般が効果を持つのではない。 4)聴覚、触覚などの他の感覚モダリティと、急速眼球運動(HEM)を組み合わせて治療に応用することは、有効であろう。 5)EMDRの眼球運動とREM睡眠中の急速眼球運動との関係を調べるため、EMDR後の睡眠(E)と,統制条件としての情動未処理睡眠(CI)、通常の実験室睡眠(CII)間で分析した。その結果、NREMの1〜4 stage及びREM構成比率が大きな影響を受け、EMDR並びにREMは何れもreprocessing機能を有すると考えられる。
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