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2004 年度 実績報告書

妄想の発生のメカニズムと心理学的介入についての実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15530444
研究機関東京大学

研究代表者

丹野 義彦  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60179926)

研究分担者 中安 信夫  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70126134)
石垣 琢麿  横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (70323920)
大森 拓哉  多摩大学, 経営情報学部, 助教授 (80332617)
キーワード妄想的観念 / 統合失調症 / ベイズ理論
研究概要

本研究は、妄想の発生メカニズムとして有力視されている3つの仮説を検討するものである。すなわち、ベイズ仮説、「心の理論」仮説、原因帰属仮説の3つである。本年度は、アナログ研究を中心として、ベイズ仮説をおもに検討した。これまで、妄想を持つ患者を対象とした研究において、ベイズ課題を用いた実験をおこなうと、妄想を持つ患者は、持たない患者に比べて、判断を下す際に、情報収集の量が少なく、自分の決断に対する確信度が高いことが知られている。これは「結論への飛躍」バイアスと呼ばれる。本年度はアナログ研究を中心に研究をすすめた。アナログ研究とは、臨床群ではなく、一般の健常者(本研究では一般大学生)における精神病理を調べる研究である。一般大学生を対象にして、妄想的観念が強い群と弱い群に分け、先行研究で多く用いられてきたビーズ玉課題を用いて検討した。その結果、妄想的観念が強い群は、弱い群に比べて、情報収集の量が少なく、自分の決断に対する確信度が高いことが確かめられた。つまり、妄想的観念が強い群は、弱い群に比べて、「結論への飛躍」が見られる。先行研究と合わせて考えると、妄想と妄想的観念の発生メカニズムには共通のものが存在することが示唆され、妄想と妄想的観念の連続説が支持される.
また、社会的場面を想定したベイズ課題にすると,妄想的観念が強い群にも「結論への飛躍」バイアスはみられなくなった。このことから、妄想的観念が強い群も,対人場面においては、推論を慎重に行なうために、「結論への飛躍」バイアスはみられなくなると考えられた。こうした結果は、妄想的観念の指導や治療介入において示唆するところが多い。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 健常者の妄想的観念への多次元的アプローチ2004

    • 著者名/発表者名
      森本幸子, 丹野義彦
    • 雑誌名

      心理学研究 74

      ページ: 552-555

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 大学生における被害妄想観念に関する研究-素因ストレスモデルを用いて2004

    • 著者名/発表者名
      森本幸子, 丹野義彦
    • 雑誌名

      心理学研究 75

      ページ: 118-124

  • [雑誌論文] Peters et al Delusions Inventory(PDI)日本語版の作成と信頼性・妥当性の検討2004

    • 著者名/発表者名
      山崎修道, 丹野義彦ほか11名
    • 雑誌名

      臨床精神医学 33

      ページ: 911-918

  • [雑誌論文] 自我漏洩状況に対応した測定尺度の作成2004

    • 著者名/発表者名
      佐々木淳, 丹野義彦
    • 雑誌名

      精神科診断学 15

      ページ: 25-36

  • [雑誌論文] 自己開示が被開示者の肯定的・否定的反応に及ぼす影響-被開示者の特性ごとにみた自己開示による反応の違い2004

    • 著者名/発表者名
      森脇愛子, 坂本真士, 丹野義彦
    • 雑誌名

      健康心理学研究 17

      ページ: 70-78

  • [雑誌論文] 完全主義の認知を多次元で測定する尺度作成の試み2004

    • 著者名/発表者名
      小堀修, 丹野義彦
    • 雑誌名

      パーソナリティ研究 13

      ページ: 34-43

  • [図書] 臨床心理学全書5臨床心理学研究法2004

    • 著者名/発表者名
      丹野義彦(編)
    • 総ページ数
      347
    • 出版者
      誠信書房

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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