平成15年度中は、3年計画の初年度として、「非精神障害性の引きこもり未成年」に該当する事例の保護者への予備的調査を行った。調査研究の目的でもあると説明した上で、5件の保護者との間で、新潟大学心理相談室にて継続支援を行うことに関する説明と契約を交わし、すでに3件への介入をすすめている。その支援の中で、POMSあるいはSRS18(いずれも、成人一般のストレス測定を多面的に測定する尺度)などを用いて、保護者自身の不安や抑うつなどの変動を測定し解析を行った。また、「未成年引きこもりの保護者」固有のストレスの状況についても、県内の「ひきこもり親の会」などの団体の協力を得た上で、聞き取り調査を行った。また、全国各地で引きこもり事例に数多くかかわっている教育相談関係者、および精神科医、思春期の子を持つ親のストレスなどの専門家に、専門的知識の提供を求めた。これらの調査・介入結果に基づいて、家庭内での本人と家族の交流のあり方を調査する質問紙作成のための、35項目からなる予備項目が収集された。 平成16年度の以降の準備として、現在のところ以下の3点の準備をすすめている。(1)平成16年5月に実施予定である、すでに1年以上「引きこもり」の状態にある20歳未満者を家庭にかかえる保護者(50から70組)を対象として行う調査への協力を求め解析している。(2)平成16年度6月より開始予定の、引きこもり未成年保護者への親訓練介入のプログラムの原案について、新潟県内の教育相談関係者、県外の引きこもり研究をすすめている医師、臨床心理士などからチェックを受け、修正を加えている。(3)すでに介入を始めている3つの事例において、親訓練プログラム実施上の問題点を確認している。
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