研究概要 |
目的:平成18年度においては,平成15年度から平成17年度にかけて検討してきた,思春期(中学生)の子どもをもつ母親の子どもの成長に対する認知と感情が,どのように養育態度を規定し,また,それが子どもの人格発達や心理的適応の指標に影響を与えているかを質問紙調査によって検証した。 方法:(1)調査対象者:三重県内の中学校10校(公立自校,私立1校)を対象にし,在籍する中学生1〜3年生とその保護者3543組に対して調査を実施し,2505組の調査票を回収した(回収率は70.7%)。(2)調査時期:2006年6〜7月(3)調査内容:保護者 a.子どもの成長に対する認知・感情(肯定的認知・感情,否定的認知・感情),b.養育態度(主体性の尊重,威厳ある姿勢,適切な心理的境界,不安定な態度),c.養育スキル(道徳的スキル,自尊心スキル,理解・関心スキル),d.自尊感情,子ども a.子どもの認知する保護者の養育態度,b.有能感(友人関係,自己価値),c.自尊感情,d.心理的不適応感 結果:保護者のうち,主として母親のデータを中心に分析を行った。その結果,子どもの成長に対して肯定的な認知と感情を持っている母親は,主体性を尊重する姿勢を持っており,逆に否定的な認知と感情を持っている母親は不安定な態度を持っていることが明らかになった。また,母親の子どもの成長に対する認知と感情は子どもが認知している母親の養育態度とも関連が認められた。子どもの自尊感情と心理的不適応感については,母親が認知している養育態度よりも子ども自身の認知した養育態度と強く関連していた。 研究成果の発表:上記の研究成果については,日本発達心理学会第18回大会(大宮ソニックシティ)とSRCD(Society for Research in Child Development)大会(ボストン)で発表した。また。,調査に協力していただいた生徒と保護者全員に調査報告書を提出した。
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