研究課題/領域番号 |
15530451
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
冨永 良喜 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (50164033)
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研究分担者 |
井上 雅彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (20252819)
岩井 圭司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (20263387)
鈴木 啓嗣 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (10252959)
山中 寛 鹿児島大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (60182581)
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キーワード | 児童虐待 / ストレスマネジメント / キャンプ / 2次的外傷性ストレス |
研究概要 |
本研究の目的は、虐待を受けた子どもへの3次予防としてのストレスマネジメントプログラムを開発し、3泊4日のケアキャンプで実施しその効果を検討することである。 1.方法 (1)対象;対象は、児童養護施設入所児童のうち小学校5・6年生122名を対象に、66名はストレスマネジメントキャンプ参加群、56名は非参加群であった。 (2)虐待を受けた子どもへのストレスマネジメントプログラムを開発;10名以下の小グループを構成し、スポーツ、音楽、科学探検、自然探検などのプログラムから、児童が事前に選択して参加する。3日目の夜を発表会とし、ストレス事態を設定した。活動をみんなの前で発表する時に、さまざまなストレスマネジメント技法をトレーナーや、グループカウンセラーから学び、自然に、ストレスへの対処を習得できるようにした。そのプログラムが、ストレス反応やPTSD症状反応を軽減するかどうかを検証する。 (3)施設職員の代理受傷を防止するための研修プログラムを開発;受けた過去の虐待によって、児童は暴力を再現したり、身近な人を拒否したりする。そのため、トレーナーの2次的外傷性ストレスの予防のためのプログラムを開発し、自己肯定感尺度を指標に、効果を検討する。 2.結果 (1)児童のストレス反応;嶋田ら(1992)のストレス反応尺度をキャンプ前後に実施した結果、参加群と非参加群に交互作用に有意な差が見られた。参加群は、前後で、ストレス反応得点が、有意に減少したのに対して、非参加群は有意な差が見られなかった。 (2)職員からみた遊びと対人関係の尺度(中谷、2003)とキャンプ中のトレーナーとの人間関係;職員が事前に児童についてチェックした遊びと対人関係の尺度得点と、過去の虐待経験とは、456と正の相関がみられた。また、キャンプ中においても、高得点の児童は、トレーナーへの暴言・拒否がみられる傾向がみいだされた。 (2)トレーナーの自己肯定感尺度(平石、1994)では、キャンプで良い変化がみられたと認知した群とそうでない群では、自己肯定感尺度得点に、有意な差がみられなかった。 3.考察 このストレスマネジメントプログラムを中心としたコミュニティー心理学的アプローチは、福祉施設でも有効なことが示唆された。
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