研究概要 |
児童養護施設で生活する小学5年生・6年生(65名)を対象に、ストレスマネジメントを基軸とした3泊4日の宿泊キャンプを実施した。キャンプ内容は、子どもが、自分が選んだプログラムをトレーナーと一緒に体験し、発表会というストレス事態を乗りこえる経験を通して、ストレスへのつき合い方を自然に学ぶこととした。 前後に各児童養護施設に入所している児童(小学校5,6年生全員;125名)にストレス反応調査票(嶋田ら、1994)と子どものストレス対処尺度(冨永典、2003)と子ども判災害後ストレス反応調査票(冨永・高橋・吉田ら、2002)を実施した。実施にあたっては、このアンケートを誰が見るかについて説明し、自分のストレスを考える機会にしてほしいことが伝えられた。なお、非参加群の子どもたちにも、アンケートでわかったことをお手紙として、フィードバックした。 ストレス反応得点をデータとし、参加・非参加群を被験者間要因、前後を被験者内要因とした2要因分散分析を行った結果、群の主効果は有意ではなく、前後の主効果(F(123,1)=14.09,p<.005)に有意な差が見られたが、交互作用に有意な差は見られなかった。 ストレス対処尺度のうちリラックス得点をデータとし、分散分析の結果、参加と前後の交互作用(F(1,480)=14.5,p<0.000)に有意な差がみられた。下位検定の結果参加群の前後には有意な差がみられず(F(1,480)=2.56,p=.110)、非参加群において前後に有意な差がみられた(F(1,480)=14.34,p<.000)。 参加・非参加群とも、ストレス反応得点は、キャンプ後の方が得点が有意に下がった。一方、ストレス対処のうち、リラックス対処については、キャンプ非参加群は、キャンプ後に、得点が下がったのに対し、参加群は、維持していた。このことより、ストレスマネジメントキャンプに参加した児童は、望ましいストレス対処を身につけたと考察された。
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