研究概要 |
1 研究の目的:本研究は,がん医療,周産期医療,生殖医療,遺伝医療,臓器移植医療の先端医療の5分野とHIV医療を比較し,各分野における臨床心理士(以下,心理士)の活動の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とする。 2 本年度の研究実績:(1)第二次調査結果の質的分析:第一次調査結果の妥当性を検討し,心理士のネットワークを具体的に把握するため,第二次調査を実施した。第一次調査の回答者のうち中堅・ベテランの心理士50名に結果をフィードバックしコメントをもらうため質問紙調査を行った。42名の回答の質的分析の結果,次の2点が明らかになった。(1)第一次調査の結果は,HIV医療,がん医療,生殖医療,遺伝医療では,おおむね妥当とされた。(2)がん医療,HIV医療,周産期医療,生殖医療では,学会,団体および個人レベルのネットワークが多様に構築されていた。(2)第三次調査の実施と結果の解析:第二次調査で名前の挙がったがん医療,周産期医療,生殖医療のリーダー3名を対象に,各分野のネットワークの現状と課題を詳細に把握するため訪問面接調査を行った。その結果,次の4点が明らかになった。(1)がん医療のネットワークは,心理士だけでなく複数のコメディカル職種から構成されている。(2)周産期医療では,経験豊かな心理士を中心に,研修活動,学会活動が活発である。(3)生殖医療では,欧米をモデルとした心理士のための学会組織をめざしている。(4)3分野とも現場の臨床家中心で,今後は大学の教員等との連携が課題である。(3)3年間の研究の総括:研究論文の展望,第一次調査結果の概要,第二次調査結果の概要,第三次調査結果の概要の4つの研究を総括し,研究成果報告書の冊子を作成した。
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