痴呆の評価を中心とした高齢者の認知機能評価とは異なり、脳損傷患者の認知機能評価は、損傷の部位、病理、経過のプロセスなどにより様々な認知傷害の様相を呈することは明らかである。このような背景のもとで、脳神経外科、神経内科、精神科、放射線科に入院・通院している脳障害者の認知機能評価の目的で、検査項目の選択にあたり、いくつかの条件を設定し、琉球大学式認知機能評価バッテリーを考案した。 検査項目の中で、いいまで検討してきたものは、MMSEを修正したmodified MMSEを中心とし、認知機能の全体的様相の分析である。即ち、3MSの下位項目の検討を通して、損傷部位、病理、術前・術後の経過等でのプロフィールの分析を行ってきた。 また、前頭葉検査として位置づけられている、Stroop testとTrail making testを健常者および、脳障害者で行い、琉球大学方式の検査方法を検討した。具体的には、この方式による標準化を試みることによって、データの客観性を得ることができ、この標準化データをもとに、脳損傷者の認知機能評価を、病理、術前・術後の経過等を変数として検討してきた。 認知機能の評価には、量的評価と質的評価が必要であり、一般には、量的評価のみが優位に利用されがちでありが、量的評価の客観性を高めるためには、質的評価をどのように組み込むかということ視点を検討した分析を試みている。このために、実験心理学的検査の導入を考案中である。
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