神戸市の5つの小学校において通常学級における問題行動の実態調査を行った。学習上あるいは情緒・行動面において支援を必要とする児童の学級において、行動の機能アセスメントに基づき、問題行動の先行環境要因(A)、行動(B)、結果(C)の記述データを集めた。特に支援を必要とする児童について、問題行動を明らかにし、教室内で問題行動の出現に関与する要因を調べた。低学年で頻繁に認められた問題行動は、集団行動がとれない、指示に従えない、課題に集中できない、授業中たち歩く、手遊び、課題に取り組まない、チャイムが鳴っても教室にもどらない、姿勢が保てないなどである。これらのアセスメントデータに基づき、通常の教室で「教員補助者」(大学院生)は、明確な指示、行動モデリング、バーバル・ノンバーバルプロンプト、フィードバック、声かけによる励まし、などを使い児童の適切な行動を増やすための支援を行った。さらに、教師の研修会では、研究者がコンサルタントとしてABC機能アセスメント方式にういてワークショップを行い、教室で教員補助者が集めたデータを基に児童の問題行動の捉え方と対処法についてモデルを示した。行動アセスメントの記述データの集計に基づき、平成16年度は行動チェックリストを試行し、5つの小学校で定期的に行動アセスメントを実行する。支援方法に関しては、平成15年度のモデルの適用を続行する。平成15年度の成果は、通常学級でABC記述アセスメントを複数の児童に適用できること、文脈に沿った行動アセスメントに基づき問題を減らすための介入プログラムが学級ベースで可能であることが分かったことである。さらに担任と協働で教室全体のアセスメントと介入も可能であることが分かった。成果は、通常の教室における特別支援のあり方に貢献するものである。
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