研究概要 |
1.園児の親の相談後満足感を規定する保育者の相談行為に関する調査研究 保育者による育児相談の中で、保育者がとっている相談時の対応行動を尺度化した。そして、その対応行動が親の相談満足度を高め、援助要請意図を強めるモデルを設定し、適合度をみながら項目を選定した。対象は保育園・幼稚園の親223名である。共分散構造分析の結果、受容行動3項目、助言行動3項目が相談満足度を高めるというモデルが適合度が高かった(χ^2=.66,GFI=.96,AGFI=.93,RMSEA=.048)。今後、この尺度によって、保育者との育児相談を時間系列で検討することが可能となる。 2.児童虐待に関する虐待認知と通告実行の判断に関する調査 虐待の疑われる子どもを専門機関に照会(通告)する時には虐待認識と通告実施の判断という2段階のプロセスを経る。しかし、これまでの研究は、虐待認識を扱っていてもその頻度との関連をとらえておらず、通告実行の判断にいたっては研究もない。保育志望学生198名を対象にした調査の結果、心理的虐待とEDVは、他の種類の虐待に比較して虐待であると認識されていない傾向にあることがわかった。身体的虐待、性的虐待、ネグレクトは、比較的、虐待であるとの認識がなされていた。しかし、そのような認識はあっても、通告の判断には問題があった。身体的虐待、性的虐待、ネグレクトでは、発生頻度が「月に1,2回」の場合、通告が必要であると判断した人は50%に満たなかった。 3.統合保育の事例研究文献に記述された保育者の特性分析 統合保育に関する事例研究に対して、連携のあり方に影響すると考えられる記述を分類コードを設け整理した。(1)保育者の行動・態度:保育者自身が障害児の療育に関する専門知識を身につけること、保育者同士が連携していくことの記述が多い。(2)連携をとるにあたっての質の問題:専門機関の対応についての記述が多い(例、保育の文脈にあった助言を行ってほしい)。(3)親との関係作り:「親との信頼関係を構築すること」についての記述が多いことがわかった。
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