本研究の目的は、ヒトの持つ高次の視覚情報処理機能とそ砂神経基盤について実験的に検討することである。特に、ヒトという種を特徴づける大脳左右半球の機能差について検討することを大きな目的とする。 第1に、カテゴリカル空間処理とコーディネイト空間処理における空間周波数の役割について検討し、高空間周波数帯の除去はカテゴリカル判断の左半球優位を消失させるという、仮説を支持する結果を得た(国際学術誌に受理済み)。 第2に、日常物体の認識におけるカテゴリ間、カテゴリ内弁別課題を遂行中の脳活動を機能的MRIで計測し、空間関係処理の場合と同様に、カテゴリ間弁別の左半球優位、カテゴリ内弁別の右半球優位を見いだした(国際ワークショップにて発表、機関誌に掲載済み)。 第3に、空間周波数処理のアナロジーに基づいて音色と音高を変数とした聴覚実験を行い、予測とは異なり、音色判断での右半球優位、音高課題での左半球優位という、理論上非常に興味深い結果を得た(国際学会発表受理済み、4月に発表予定)。 第4に、認知神経科学と認知心理学の哲学的基盤について考察し、論文にまとめた(大学紀要論文掲載済み)。現在は、課題難易度と空間周波数を操作した、カテゴリカルとコーディネイト処理に関する新たな実験を準備中である。
|