研究課題/領域番号 |
15530486
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
松崎 博文 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (40114003)
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研究分担者 |
昼田 源四郎 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (40282248)
水野 薫 福島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20375348)
鶴巻 正子 福島大学, 人間発達文化学類, 助教授 (40272091)
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キーワード | 高機能自閉症(幼児) / 早期支援 / SST / 軽度発達障害 / 保護者 / 事例検討会 / 通級指導教室 / ネットワーク |
研究概要 |
本年度は平成15年度の研究成果を踏まえて主に下記の研究に取り組んだ。 1)軽度発達障害児を取り巻く状況についてその概要をまとめ福島大学教育実践研究紀要に発表した(松崎)。さらに平成16年2月に福島大学で実施した「軽度発達障害理解推進セミナー(公開セミナー)」についてその概要、シンポジウムでの質疑応答、参加者へのアンケート調査の結果、の各々について福島大学教育実践研究紀要に発表した(松崎・昼田・鶴巻)。 2)福島大学に開設した高機能自閉症幼児を対象とした早期支援教室(通称「つばさ教室」)において、15年度に引き続き自閉症幼児とその母親を対象とした支援を実施した。具体的には幼児に対してはソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施し、母親に対してはペアレント・トレーニングを実施し、家庭での定着を図るためのホームワークを提示した。またSSTプログラム(試案)を作成し、そのフィードバックを母親にも行い、早期支援プログラムの基礎資料を集めた。 3)自閉症及び高機能自閉症等の軽度発達障害及びSSTに関する文献収集(図書購入を含む)を行い理解を深めた。併せて軽度発達障害児の小学校通級指導教室での実際を見学するために東京都中野区立富士見ヶ丘小学校ならびに府中市立第三小学校の情緒障害通級指導教室を視察し、SSTの実際及び担当教師との懇談、資料収集を行った。 4)15年度に実施した公開セミナーの反省(要望等)を踏まえ、小学校の通常学級で軽度発達障害児を担当している教師を主な対象に平成17年2月にクローズドで事例検討会を実施した。事例検討会は県教委や市教委との連携で大学の地域貢献特別支援事業として位置付けて実施した。当日の検討会には県内各地から小学校教師を中心に特殊学級や養護学校の教師、それに大学院生を含めて総勢59名の参加者があった。検討会は全体会での報告(福島県のモデル事業の指定校からの発表)をもとに、分科会はSSTスキルアップ講座と認知面に問題のある子どもへの個別支援の在り方・教材教具の工夫に分かれて、東京から招いた専門家(臨床心理士)や県教委の指導主事及び本研究メンバーを交えて研究協議を行った。事例検討会を通して、主に保護者(特に母親)への支援の在り方、WISC-IIIやK-ABC等の諸検査(アセスメント)の解釈の仕方、本人の劣等感の克服、校内委員会の役割や学校での支援体制の構築等が課題になっていることが浮き彫りになった。本研究テーマであるSSTのスキルアップを図るためには本人はもちろんのこと、その保護者を含めた早期からの支援が重要であることが再認識された。
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