本年度は、アメリカのミズーリ大学コロンビア校におけるM.A及びPh.D.プログラムの学位取得要件やカリキュラム構造の実態調査とわが国の主要研究大学の大学院カリキュラムの構造を調査した。 その結果、得られた知見は、以下の通りである。 (1)例えば、教育学の修士レベルにおいて、M.A.(Master of Arts)では論文作成が主眼に置かれ、カリキュラムも共通の研究関連科目が多いのに対して、専門職学位であるM.Ed.(Master of Educationでは筆記試験が課せられ、カリキュラムも個々の学生に応じた選択科目が多く配置されている。講座ごとに、一見雑多のように配置されるわが国の場合との違いが明確である。 (2)課程制の趣旨が徹底され、研究学位のPh.D.(Doctor of Philosophy)の取得要件は、専門職博士学位と同様に60単位以上が課せられこの中には研究科目12単位、博士論文6単位が含まれている。 (3)博士課程では、研究者としてまた教育者としての資質・能力が求められ、それが研究インターンシップと教育インターンシップというプログラムで単位化され、修了要件となっている。わが国では、教育者としてのプログラムがカリキュラム化・単位化されていない。 (4)わが国の課程制大学院の発展のためには、学生の選択的学習による系統的履修の機会とともに集中的学習による学習効果の向上を図る必要がある。具体的には、GPAや履修アドバイス・システムの導入、サマータイムを含めた学期制の検討などである。
|