研究概要 |
平成15年度の研究作業は,大きく次の二つの部分に分けることができる。 第一は,敗戦後から1970年代までにかけての教育関係諸法令の制定・改正過程についての資料収集と整理に関わる作業である。現在までのところ,教育行財政分野,義務教育関連分野,後期中等教育分野及び社会教育分野の関連諸法について,おおむね資料収集を終えた。また,これらの作用法令と所管部局との関係(法令所管の視点からみた文部省内の局間関係)についても検討を行った。しかし,法令改正過程の体系的分析はまだこれからの作業として残されている。また,通知や行政実例等の行政運営レベルの諸資料についての収集・分析作業が,予定よりやや遅れ気味である。 第二に,教育政策変容が引き起こされる組織の内部要因と外部要因とについて,歴史的な事例比較作業を行った。具体的には,70年代の中教審46答申による教育改革政策,80年代の臨教審による教育改革政策,そして90年代の教育改革政策という,三つの時期の改革事例の比較対照を行った。この検討作業を通じて,前2者の改革が当時期においては十分な実現を見ることなく終わったのに対して,90年代改革が実現されつつあることの違いについて,教育行政組織の内部組織関係(官房部門と原局との関係)に変化が生じたことが影響しているのではないかとの知見を得ることができた。(この検討成果の一部は,2003年10月の日本教育行政学会第38回大会[於.愛知教育大学]自由研究発表において,青木栄一との共同報告を行っている。)
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