本年度は高等女学校の卒業生に対するアンケート調査、インタビュー調査などの実証的研究を実施するとともに、文献・統計資料による歴史的事実の把握に努めた結果、以下の研究実績が得られた。 1.『淑明90年史』、『進明75年史』の翻訳と内容の検討により、両校の植民地下の学校史が把握できた。『進明75年史』については抄訳を刊行した。 2.淑明高等女学校、進明高等女学校、京畿高等女学校の卒業生に対するアンケート調査を実施し、その回答から植民地下の女子中等教育の実態解明に役立つ証言が得られた。 3.淑明高等女学校、進明高等女学校、京畿高等女学校の卒業生に以下の6名に対するインタビュー調査を実施し、植民地下の女子中等教育の実態および朝鮮女性史に関する貴重な証言を得た。 1)崔惠淑(淑明高女卒、東京女高師卒、『恨の彼方に』の著者) 2)張晶玉(進明高女卒) 3)金暈淳(進明高女卒、前進明高校校長) 4)鄭世華(京畿高女卒、『韓国女性史』『韓国近現代教育史』等の著者) 5)羅英均(京畿高女卒、『日帝時代、わが家は』の著者) 6)尹瑞石(京畿高女卒、東京女高師卒) 4.『統監府統計年報』『朝鮮統監府統監年報』などにより、植民地下朝鮮に関する統計的資料を収集、その分析を行なった。 5.上記の成果を、高等女学校研究会プロジェクトチーム編『高等女学校に関する調査資料No.10(韓国の女子中等教育関係)』として刊行した。
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