昨年度実施した朝鮮の高等女学校卒業生に対するアンケート調査、インタビュー調査、学校史の翻訳に基づき、さらなる個別のインタビュー調査、学校史の翻訳を行い、文献・統計資料の収集・分析に努めた結果、戦前の女子中等教育の実態に関する以下の研究実績が得られた。 1.京畿高等女学校、樓氏高等女学校、淑明高等女学校の卒業生5名に対するインタビュー調査の実施により、植民地下の女子中等教育の実態を把握すると共に、女学校卒業後の進路決定など朝鮮女性史に関する貴重な証言が得られた。 2.『崇義100年史』の翻訳と内容の検討により、平壌で創設され、朝鮮動乱後にソウルで再建された同校の特異な学校史の概要が把握できた。 3.下関市立大学木村健二教授他植民地朝鮮および植民地教育等の研究者と面談し、文献・史資料・研究方法等に関する情報交換を行い、植民地下朝鮮研究に関する研究の動向を把握した。 4.日韓文化交流基金図書センター、釜山市立市民図書館、国会図書館等で、朝鮮に関する統計資料・関連資料を収集し、歴史的背景を把握した。 5.羅英均氏(京畿高等女学校卒業、梨花女子大学名誉教授)を迎え、「植民地における女性と教育」のテーマで座談会を実施した(2004年10月11日、於:お茶の水女子大学ジェンダー研究センター)。 6.上記のインタビュー調査、学校史の翻訳の他、研究代表者・研究分担者による論文を科研報告書として刊行した。
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