(1)本研究計画の初年度に当たる本年は、国立公文書館所蔵の「文部省公文書」(昭和59年度移管分)の中、義務教育費国庫負担制度に関する「市町村義務教育費国庫負担法ノ沿革」(全1冊>、「小学校教員俸給・赴任旅費ノ道府県負担移管ニ関スル文書・資料」(全3冊)、及び「教員俸給費国庫負担総規」(全3冊)と題して綴られている簿冊を中心に、資料調査を行った。また、国立国家図書館所蔵の渋谷徳三郎著『義務教育費国庫負担法精義』(1918年)も調査した。これらの資料については、CD又は電子複写の方法により、いずれもコピーを作成してある。 なお、これらの資料の中、「市町村義務教育費国庫負担法ノ沿革」については、詳細な目録を作成するための基礎作業を完了した。この目録については、平成16年度において、解説を付して公刊する予定である。また、その他の資料についても、順次目録を作成する予定である。 (2)本研究に関わる文献資料として、『教育審議会審議録』、『地方交付税制度ノ沿革』などを購入した。これらの資料と、従来より所属機関が所蔵していた『明治以降教育制度発達史』、『近代日本教育制度史料』、文部省『地方教育財政一斑』などとを対照し、戦前期義務教育費国庫負担政策の成立・展開過程の分析を進めた。 なお、本研究と並行して、その前段階でまとめてあった研究を『近代日本教育費政策史』(勁草書房、2004年2月)として公刊したが、その際、これらの文献・統計資料を参照して歴史研究としての実証性を高めることができたのは幸いであった。
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