研究課題
基盤研究(C)
「教育詩学」と称する本基盤研究は、萌芽的研究(平成12-14年度)で蓄積された成果を受け、さらに発展させたものである。その際、とりわけ、昨今の教育諸言説でマジックワードのように語られる「現場」という概念に着目した。教育詩学は、人間が生成・変容する事象をいかに語るかという問題意識・まなざし・言説の集蔵体として教育学は成立してきたとの理解に立ち、教育研究および教育一般を言語が使用される「現場」として見立て、そこで使用される言葉の働きを解明する試みである。またその「見立て」自体の作用の解明や、語る者の個人的かつ集合的・構造的「まなざし」が成立してくる力学を、みずからの身体を含みこんだプロセスの中で明らかにするといったように、研究対象であり同時に研究方法でもあるようなものとして、「見立ての技法」を研究・探究する試みである。3年間で取り組んだ対象は、1)ヘルバルトやカントなど近代教育成立期(18〜19世紀)ドイツの教育学、人間生成・変容論、2)同時期の啓蒙主義、ロマン主義と教育言説、3)野生児研究や認識の科学思想と人間学の成立との連関、4)近代西洋哲学を日本の風土に合わせて改変した京都学派の哲学者に見られる人間生成・変容の言説、5)伝統的教育イメージのモデルである二宮尊徳や、中世キリスト教のイグナチオ・デ・ロヨラ、禅仏教の『碧眼録』など、伝統的な修養法・修行・芸道・宗教テクスト、6)医療実践や終末期医療の語り、死生学、生命倫理、心・生命・魂をめぐる教育思想テクスト、7)現代学校教育における教育問題言説、現職教師の再教育プロセスにおける臨床知、など。鈴木、皇の両名は、日本教育学会(H16一般研究発表)、教育哲学会(H15、H17シンポ、H16ラウンドテーブル)、教育思想史学会(H16、H17コロキアム)、COEワークショップ(H15)、歴史的人間学会シンポ(ベルリンH17)、ドイツ教育学会分科会(フランクフルトH17)、「身体・メディア・想像力」国際シンポ(アーヴァインH17)ほか、現職教師研究会や保育関係者研究会、医療関係者研究会などで発表・講演した。今回の科研の成果の締めくくりとして、これまでの研究協力者(弘田陽介、小野文生)とともに、叢書KonTakt第1巻『これは教育学ではない--教育詩学探究』を冬弓舎(京都)より刊行した。今後この研究叢書はシリーズ化し、これまでの実績を含めさらなる成果を著書の形で一般向けに発表する予定(第2巻は『あわいの<詩>学』(鈴木著)として近刊)。
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Series Kon Takt(Kyoto, Tokyusha-Publisher) Vol.1
ページ: 1-220
教育文化論(住田正樹, 鈴木晶子編)(放送大学)
ページ: 35-48
ページ: 49-62
ページ: 87-104
ページ: 105-116
ページ: 63-74
ページ: 75-86
近代教育フォーラム 14
ページ: 156-161
教育哲学研究 91
ページ: 102-103
Education & Culture, University of the Air Text((ed.) Sumida, M. & Suzuki, S.)
Forum on Modern Education 14
Studies in the Philosophy of Education 91
Interim Report of this Project
ページ: 1-172
教育哲学研究 88
ページ: 101-111
Studies in the Philosophy of Education 88