本研究は次の三つの課題を立てており、それぞれについて進捗状況を報告をする。 【課題1】教育倫理教育の哲学的基礎の解明 【課題2】諸外国の比較による教育倫理教育の現状と課題に関する調査 【課題3】教育倫理教育の授業モデルの提示 【課題1】既に入手済みであった文献資料とともに新たに入手した内外の文献や最新資料利用して、丸山が他者論の立場から、坂越が教育関係論の立場から教育倫理の哲学的基盤を解明した。曽余田は、そうして得られた哲学的基盤を教師論の実践的立場から現在検証中である。成果の一部は、平成15年8月にトルコのイスタンブールで開催された世界哲学会議において発表された。また、別の一部が平成16年8月にスペインのマドリードで開催される教育哲学者国際連絡会にて発表の予定である(既に原稿は受理済)。 【課題2】丸山が平成15年11月にニュージーランドのオークランドで開催された南太平洋州教育哲学会に参加し、教職倫理綱領や関連法規の内実と教育倫理教育実践の現状と課題について情報収集を行った。特にThe Ethical School(1998)の著者であるFelicity Haynes氏(オーストラリア)やThe Ethioal Teacher(2003)の著者Ivan Snook氏(ニュージーランド)とそれぞれ個別に会合をもって、当課題に関わる見解を求めた。 【課題3】米国の教員養成課程で広く採用されているテキストThe Ethioal of Teaching(1985)の著者の一人であるKenneth Strike氏が平成15年11月に来広された折に当課題への助言を求めた。このテキストは、教師が倫理的に選択を迫られる事例を学生に提示しディスカッションさせる構成になっており、氏には丸山の授業時間において実際に教鞭を執ってもらうなど、授業方法とカリキュラムの内実を検討した。
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