本研究は、平成15年度から文部科学省科学研究費補助金を受けて進めてきた「戦後日本における教育ジャーナリズムに関する基礎的研究」である。 今回の研究は、1945(昭和20)年から49(昭和24)年にかけて創刊された教育関係雑誌が、いかなるニーズによって創刊され、その隆替はどうであったか、また、各誌が、どのような教育情報を掲載し、伝えようとしていたのか、書誌的分析を通じて明らかにしょうとしたものである。 周知のように、戦後日本の教育ジャーナリズムに関する本格的な研究は皆無に等しい。また、1945(昭和20)年から49(昭和24)年にかけて、わが国において創刊された雑誌や新聞は、国内最大の蔵書量を誇る国立国会図書館でさえ、所蔵されている雑誌や新聞は少なく、国立国会図書館の「収集の空白域」と呼ばれてきた。この「空白域」を埋める史料として、アメリカ合衆国メリーランド大学マッケルディン図書館に所蔵されているプランゲ文庫の所在が注目され、コレクションの整理が進み、研究条件が進んできた。 このような条件が進む一方、教育関係雑誌や新聞を利用した教育に関する研究は増えたものの、その雑誌がいつ創刊され、いかなる性格を持ち、いつ終刊(廃刊)されたのか、書誌的研究も踏まえずに利用している研究が多く見られる。こうした問題意識から、国内外に点在する史料を収集しつつ、戦後日本における教育ジャーナリズムに関する基礎的研究を進めてきた。 その結果、戦後、1945(昭和20)年から49(昭和24)年にかけて創刊された教育関係雑誌は、管見に入る限り、248誌であり、その隆替を示すことができた。また、それらの雑誌の中から58誌を選び、個別雑誌の書誌的分析を行い、戦後日本における教育ジャーナリズムの一端を明らかにすることができた。
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