本年度は、アメリカにおける教員免許状の更新制度について、カリフォルニア州を中心に研究を行った。その結果、カリフォルニア州の教員免許更新制度は、「5年間」の間に、各教員が、州教員免許委員会が規定した単位数分の職能成長活動を行うことが要求されるシステムであった。それは、先年、我が国で免許状更新制度が話題となり、その結果成立した「10年研修」とは全く異なる性格のものであった。すなわち、10年研修は、教職経験「10年目」の教員がその1年間に必要時間数の研修を受けることが求められるものであった。これに対し、カリフォルニア州の場合は、「5年目」ではなく「5年間」という一定の期間の間に研修を受けるシステムであることが分かった。10年研修のモデルは、アメリカの教員免許更新制度にあると考えられるが、実は、この違いはきわめて大きく、その効果等についても日米比較の必要性が感じられた。そのため、我が国の研修・授業研究・教師論等に関する文献も入手して、その内容的な比較も行った。さらに、カリフォルニア州で5年間の間に要求される「職能成長活動」の内容についても、我が国の場合は、学校の中での研修活動や教育委員会・センターでの研修が中心となるが、カリフォルニアの場合は、大学院でのコースワークや教師個人の研究活動、新人教員への指導、教員団体での活動等、きわめて多様であり、しかも、それらを免許更新のための「職能成長活動」と認めるかどうかを、州免許委員会が定めた職能成長アドバイザーと教師が相談をして決めることになっていた。教師の自主性が生かされたシステムが作られていた。以上の研究結果は、インターネットでの資料収集、現地カリフォルニア訪問、関連図書・論文・資料の入手・分析を通して得られた。
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