第一に、アメリカでは、多くの州ではほぼ5年ごとに免許状の更新を要求しているが、そのための研修は、一定の州の基準と枠組みの中で、職能成長アドバイザーとともに、各教員がそれぞれ異なる、自らの職能成長計画を作り、それを実施していくものであった(カリフォルニア州等)。いわば、行政研修と自主研修を統合した性格をもっていたことであった。さらに、更新制度における教員の権利の保障(上訴の権利の保障)も制度化されていた。第二に、しかし、州によって、教員免許政策や職能成長のとらえ方には違いも見られた。その背景には、教師観や教職観の対立があった。すなわち、カリフォルニア州は「専門職」的教職観を、アリゾナ州は「官僚」的教職観をその基盤に持っていた。また、イリノイ州でも、「職能成長」の認定方法に関しての対立があった。第三に、「全米教職基準委員会」(NBPTS)の免許状も、教員免許状と職能成長との関連性を考える上では、無視できないものとなっていた。これは、より優秀な教員を認定する全国的な免許である。取得方法は、ポートフォリオの作成と試験であるが、特に前者はすぐれた職能成長活動となっており、また、10年ごとの更新も、教室での活動と直結した職能成長活動によって行われることになっていた。
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