本研究の目的は、アメリカのマサチューセッツ州を事例として、知事主導方型によるトップダウン方式の教育アセスメント行政の構造を解明することである。平成16年度における本研究の途中経過ならびに成果は、マサチューセッツ州の教育アセスメント行政に関する基本的文献や一次資料を収集したこと、及びマサチューセッツ州の議会図書館やボストン市の公立図書館を訪問し、主に教育アセスメント行政に関する議会側の一次資料を調査・収集したことである。とりわけ、1998年から実施されているマサチューセッツ州の州テスト=「マサチューセッツ州総合評価システム」(Massachusetts Comprehensive Assessment System)(=MCAS test)の結果が、州のカリキュラム改革やバイリンガル教育の廃止、教員評価などに利用され、厳しい結果責任・説明責任が求められている点を解明した。 以上のような研究活動の結果、本年度は、以下のような研究論文の執筆と研究報告を行った。マサチューセッツ州のカリキュラム改革とバイリンガル教育の廃止に関する研究成果は、「現代アメリカにおける教育改革の思想と政策の分析」(日本大学教育学会『教育学雑誌』第39号)と題して執筆した。また、日本教育学会第63回大会においては、「マサチューセッツ州の教育改革とバイリンガル教育」(北海学園大学)と題して、口頭発表を行った。 以上のような研究活動に基づく本研究の意義は、同州における教育アセスメント行政の展開が州知事(共和党)主導型のトップ・ダウン方式による厳しいアセスメント行政の断行であったことを、カリキュラム改革とバイリンガル教育の廃止問題に焦点を当てながら、その意味を教育思想や教育行政の側面から的解明したことである。
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