本研究は、いわゆる分権改革を背景にして2000年秋以降、福島県三春町を皮切りにいくつかの市町村で実施されてきている教育長(教育委員)公募制の導入の趣旨と背景、制度内容と運用の実際、「公募」教育長の特質(年齢・経歴・応募動機・教育行政に関する課題意識)などを調査・分析するとともに、この制度の導入・実施が教育長および教育委員会の在り方、さらには教育委員会の活性化にどのようなインパクトをもたらしたのか(その可能性を含め)を実証的に明らかにすることを目指している。初年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1)公募制を実施した13市町村(本研究の申請時に判明していたものは7市町村)の基本資料(公募要項・応募者数・「公募」教育長の属性など)をほぼ収集して、その内容の共通点と相違点および各事例の特色を把握できたこと。 2)原町市(福島県)、白河市(同)、青ヶ島村(東京都)、西有田町(佐賀県)などの首長・教育長に「聴き取り調査」(インタビュー)し、公募制導入の背景と趣旨、制度の特徴と運用の実際、「公募」教育長の課題意識と教育行政施策の特徴などを具体的に把握できたこと。 3)公募制の導入・実施が新たな教育長の在り方(教育長像)および教育委員会の在り方(活性化)に提起しているさまざまな問題を明らかにできたこと。 次年度の課題は、引き続き残りの市町村の首長・教育長への「聴き取り調査」を実施するとともに、収集した資料の分析を深め、本研究のまとめを行うことである。
|