年度当初に予定したノルウェーにおける学校・行政機関での聴取、授業等見学及び資料収集を2005年9月1日-17日に実施した。この現地訪問調査に基づいた知見の概要は、下記のようである。 1.初等中等教育課程改革が2006/2007年度実施に向けて本格的に準備されている。 2.この国の伝統=キリスト教ルーテル派ノルウェー国教が想定以上に多様で幅広く、その学校教育への影響は大きい。また特定宗教重視への異論・抗議がある。それに対して、この国は宗教教育直接関連科目=KRLの教育課程基準の1年前倒し実施など、機敏かつ柔軟な教育政策対応をしている。 3.1997年9月-2005年9月の中道右派連立政権下での「教育評価」の高い学校への政府特別補助金制度等による規制緩和・競争の教育政策が学校教育において相当程度に実現してきている。同時に、容易にそれには同調しないこの国特有の民主主義・平等主義の教育の実態も垣間見られる。 他方、別途収集・訳出したノルウェーの中学校、高等学校の校則からは次のように見られる。 4.学校運営への生徒代表参加制度もあり生徒管理・生活指導は一般に大らかであるが、出欠管理などは規則としては日本よりもむしろ厳格である。「校則」は、地方自治体共通部分と学校独自に定める部分とから成る場合が多い。「学校で雪合戦遊びをしてはいけない」など意外な内容もある。 以上のうち、「1」〜「3」にかかる研究成果の一端は、北川「ノルウェーの初等・中等学校における宗教・倫理及び社会科教育-アイツヴォグ教授談話とその関連事項」(大手前大学『社会文化学部論集』第6号・本年3月発行予定。分量約12頁)としてまとめた。 その余については、本年6月に発行予定の『研究成果報告書』に掲載する。
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