研究概要 |
本研究は,保育者養成校の学生が,普通教室の授業内で保育現場での営みに触れながら学習できる学習環境を構築すること,構築した学習環境を用いた実践を保育者養成のための講義や演習で行い,新しい保育者養成教育の方法について検討することを目的として行った。 開発した学習環境には,次の4つの機能を持たせた。(1)保育現場と養成校をインターネットで接続して,保育中の子どもたちのようすを,養成校の普通教室でリアルタイムに視聴できる機能,(2)養成校と保育現場で,動画と音声によるコミュニケーション(いわゆるテレビ会議)ができる機能,(3)保育現場の映像を蓄積して,養成校の学習者が後で視聴できる機能,(4)養成校の学習者が,保育現場の映像を素材にして,共同で学習ができる機能である。この機能を実現するために,コミュニケーション用のパソコン端末,遠隔からのリモートコントロールが可能なWebカメラ(音声送信も可能),学習コンテンツ配信用のWebサーバ,セキュリティ確保のためVPN構築が可能なルーターなどで学習環境を構成した。 開発した学習環境を用いた実践を行い,システムの機能,学生の受講後の感想,教育の効果などについて検討した。『その結果,システムについては常時安定して正常に機能し,まったく問題は見られなかった。学生の受講後の感想では,ほとんどが開発した学習環境を用いた授業を肯定的にとらえており,継続的な実施を望んでいた。教育の効果は,実習だけではそのすべてをカバーできない幼稚園・保育所におけるさまざまな活動や行事といった保育内容について,教員が解説しながら全学生が同時に観察できることにより,理解を深めることができた。特にWebカメラを使うことで,カメラを意識しない極めて自然な子ども達の活動を,教室に居ながらにして観察できることにより,理論と実践をリアルタイムに結びつけての学習が可能となり学生の理解を高める効果が確認できた。 今後,さらに実践を重ねて,より効果的な活用の方法を検討する。
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