平成15年度は、オフキャンパス教育の先進的地域の1つであるイギリスについて、現地におけるインタビュー調査等により実情を把握した。イギリスでは、世界初の遠隔高等教育専門機関として公開大学(Open University)が、1980年より修士課程を、さらに1990年からは博士課程を設けている。こうした拡大基調のなかで、IT技術の発展にともない、公開大学の図書館サービスも大きく変化している。設立当初の公共図書館との連携を視野にいれた図書館サービスから、Webによる図書館サービスへと重点がかわっている。公開大学では、学部レベルでは教科書のほか、参考文献も概ねWeb上で全文検索ができるシステムが導入されている。さらにこうした図書館サービスの利用数育もWeb上で行うことが可能になっている。 一方、他大学では、公開大学が学部レベルを中心に展開していることもあり、オフキャンパス教育は大学院レベルを中心に展開している。今回はそのうちリーズ大学とレスター大学の2大学を訪れたが、いずれの大学でも、大学院生はオンキャンパスの授業もオフキャンパスの授業も各自の都合で選択可能なシステムで運用されている。こうした大学院生に対しては、大学図書館では有料データベースについても多くは自宅からのアクセスを可能にしている。なかでも最も大きなサービスは、University-Library Plusという大学図書館サービスである。このサービスは、学生は1人につき所属大学を含めて5大学の図書館を事前に登録することにより、閲覧や複写サービスのみならず、貸出しサービスを享受できるもので、所属大学と同様のサービスをうけることができる。図書館サービスに関しては個別の大学の違いが極めて小さいものとなっているのがイギリスの特徴である。
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