我が国においては女性の社会参加が、他の先進諸国に比較して著しく停滞している。このことは、大学・高等教育についても例外ではない。大学教員のなかに占める女性の割合は低く、また、助手、講師、助教授、教授と地位が高くなればなるほど、女性の割合は低くなっているからである。また、専門分野の偏りも著しい。このような問題意識から、.国立大学協会では2010年の国立大学における女性教員比率の目標を20%と定めている。そこで、まず着手したのが大学における男女共同参画の歴史と現状に関するジェンダー統計の作成とその分析評価である。大学・短期大学入学者・大学院入学者の男女別構成とその歴史的変容、男女別にみた大学・短大教員の地位・職階別構成などの時系列的統計、専門分野別にみた男女の構成、大学別にみた教員の男女別構成などの人口動態をデータベース化した。次に、賞やアカデミーの会員といった名誉的地位に関する配分のデータベースを構築した。また、そのデータを分析することによって、大学における男女共同参画という視点から、何が変わり、何が変わらなかったのかを時系列的な視点から明らかにしていった。 次に、大学における男女共同参画の仕組みづくりに関する研究に着手した。男女共同参画社会とは、男女が対等の構成員としてともに社会に参加し、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。この理念に基づいて各大学がどのような施策を実行に移しているのか、優れた大学の取り組みを事例研究するとともに、国立大学における中期目標・中期計画を分析した。
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