1999年の男女共同参画社会基本法の成立や、2010年には女性教員比率を20%にするとの目標値を立てた国立大学協会の方針などもあって、大学における男女共同参画を促進していく動きが、いくつかの大学で見られるようになった。その中でも代表的な大学が、東北大学、名古屋大学、東京大学、お茶の水大学等である。これらの大学では、男女共同参画委員会を設置して様々な改善に取り組んでいる。具体的には、実態の把握、保育所の設置、女性を対象とした学術賞の創設、ポジティブ・アクションの推進などである。お茶の水女子大学では、女性支援室を設置して、教職員の男女差の調査などを行っている。これらの大学を中心に「大学等における男女共同参画を推進するためのネットワーク」が構築されつつある。 女性の学術支援という点では、日本学術振興会の出産・育児等による研究中断からの復帰支援」や、科学技術振興調整費による「女性研究者の育成・活躍促進積極的に行うモデル大学の支援」などの政策が立ち上げられ、ジェンダーの視点からの学術政策が緒についた段階といえるであろう。他方、国立大学法人の中期目標・中期計画の分析では、男女共同参画の視点を有していない大学も少なくないことも判明した。 さらに、「全国大学職員録」、「学校教員基本統計調査報告書」、「学校基本調査報告書」等に依拠して、1980年代以降の高等教育の発展過程が大学教授市場にいかなる影響をもたらし、ジェンダー構成にどのような変化があったのか明らかにすることができた。
|