本研究は、イギリスの社会学者A・ギデンズの「自己の再帰的プロジェクト」という概念を活用しつつ、後期モダン社会を生きる若者たちの自己アイデンティティの構築・再編のプロセス(=自己の再帰的プロジェクトのプロセス)を、特に沖縄の若者たちを事例として取り上げ、また彼ら/彼女らにとって沖縄というローカリティがどのようにイメージされ意味づけられているのかにとりわけ焦点を当てつつ、掴むことを課題としたものであった。 『研究成果報告書』は3章構成になっている。「I 本研究の課題意識と本報告書の構成」では、上述のような本研究の課題についての説明、本研究もその中に位置づくであろう若者についての社会学的研究の動向の概観、本報告書の構成の提示などを行った。「II A・ギデンズのモダニティ論と自己アイデンティティ論」では、そのタイトル通り、モダニティとその下における諸個人の自己アイデンティティのあり方に関するギデンズの所論を、「『モダニティ』とは何か」、「モダニティの制度的諸次元」、「モダニティにおける諸個人」、「ライフ・ポリティクス」、「考察」という5つの節を立てて、概観し検討した。「III 沖縄の若者たちの『自己の再帰的プロジェクト』と『沖縄』:インタビュー調査より」では、本研究の諸作業の一環として行った、沖縄の若者(沖縄に生まれ育った、あるいは一定期間沖縄に住んだことのある若者)対象のインタビュー調査から得られたデータの分析を通じて、沖縄の若者たちの自己アイデンティティの構築・再編過程や「沖縄」の意味づけ方の実証的把握を試みた。
|