本研究は、平成15年、16年の2年計画で、教員養成課程において、国語教員志望者・現職派遣教員の論理的表現力を訓練するためのカリキュラム及び系統的教材を作成する目的により、西洋で1500年間(2世紀〜17世紀)にわたって用いられたプロギュムナスマタ(progymnasmata)と呼ばれる作文・話し方教育のための訓練方法(及びその教科書)を研究し、それを現代の高等教育での作文教育に利用可能なように作り直すことを試みたものである。研究代表者および研究分担者は、2年間の研究成果を作文教科書の体裁でまとめ、『レトリック式作文練習法』(明治図書)として出版した。この教科書の特色は以下のとおりである。 1 対象とする学習者を、大学生(国語教員志望者)・現職(国語)教員とした。 2 扱う文種を議論文に限定し、全12〜14課程あった古代のプロギュムナスマタの中から、「寓話」「物語」「逸話」「格言」「反論」「立論」「賞賛」「非難」「比較」の9課程を抽出し、目的にあわせて再構成した。 3 理論編では、古代のプロギュムナスマタで解説された知識・技術のみならず、レトリックおよび関連諸学問の知見を加え、現代の学習者の理解の便宜を図った。 4 練習課題は、古代の課題例を参考にし、上記学習者のレヴェルや興味・関心に合わせて新しいものを作成した。 5 実践編には、練習課題とともに、研究代表者および研究分担者の授業における実際の指導手順を示し、受講生に配布した補助資料を掲載した。また、各課題ごとに、受講生が実際に書いた作文例2編とそれに対する批評とを併せて載せた。
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