本研究は、教育においてジェンダー問題にどのように取り組む必要があるかを検討するために、制度的平等をかなり達成しているスウェーデンで行われているアクション・リサーチの検討を行い、日本の小・中学校でのアプローチを考案することを最終の目的としている。ジェンダー・バイアスの高い教科でどのようなアクションを起こす必要があるのか、男女の権力関係が作動する教室空間でどのような取り組みが必要かなどを実践的に検討するとともに、教師が絶えず教室空間を分析し、アプローチを試みることができる力量をどのように形成できるかを明らかにすることは重要である。スウェーデンでは、近年幼児教育のプロジェクトが実施されており、今年度はそれを含めて以下の調査を行った。 (1)ウメオ市で1990年代に行われた「ジェンダー・エクイティのためのアクション・リサーチ」のプロジェクト関係者に調査するとともに、現在のウメオ市の取り組みを調査した。(2)幼児・小学校教育におけるジェンダーへの取り組みについて、ウメオ市、イエテボリ県アーレ町・イエーブレ市で行われているプロジェクトについて調査し、幼稚園や学校を視察した。(3)ウメオ市教育委員会、学校開発庁、男女平等オンブッド、イエーブレの男女平等の部屋など、ジェンダー公正のための教育機関を調査し、関連資料や情報を収集した。
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