研究課題/領域番号 |
15530582
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
高澤 茂樹 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (30268057)
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研究分担者 |
重松 敬一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40116281)
勝美 芳雄 皇學館大学, 文学部, 助教授 (40329909)
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キーワード | リスニング / ミスリスニング / 解釈的リスニング / 評価的リスニング / 変換的リスニング / 選択的リスニング / 可謬的リスニング / 失敗的リスニング |
研究概要 |
最近、算数・数学教育において、諸外国から我が国の算数・数学教師の優秀性が指摘されている。様々な算数・数学の国際的な学力調査で、我が国の小中学生の達成度が高いことが教師の授業実践力に起因すると分析されているからである。しかしながら、我が国の算数・数学教師の優秀性は未だ無自覚的であり、教師の何が優れているから子どもたちの達成度が維持されているのかについて、これまで明らかにされていないように思われる。 そこで、本研究では我が国の算数・数学教師の優秀性の重要な一因として、教師のリスニング能力に注目し、その能力の解明を行うことにした。まず、我が国の発問研究の成果を踏まえつつ、発問・リスニング・応答といった指導の一連の流れにおいて、発問の目的の達成や応答の決定において教師のリスニング能力の重要性を指摘した。 その上で、教師のリスニングをその目的の違いから解釈的リスニング、評価的リスニング、変換的リスニングの3つに分類した。子どもの声を外言と内言の両方を含むこととし、教師が子どもの声をいかに聴くのかについて言及した。特に、算数・数学の授業において、自力解決の場面での机間指導において、教師は子どものつぶやきや内言・思考をどう聴き取るのかに注目した。一般に、机間指導では、教師は課題把握の確認、解決方法の評価・支援、授業展開の計画を行うが、その間に様々な形で子どもの声をリスニングする。ときには、子どもの考えを捉えきれなかったり、誤って捉えたりすることもある。また、授業展開上、教師にとって都合の良い考えだけを選択的に捉えることも多い。そうならないようにするには、教師は子どもの声をより正確にかつ柔軟に聴き取る必要がある。つまり、子どもの考えを可謬性、多様性、対立性を前提に、対立・分化を組織化するような変換的リスニングをする必要がある。
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