本研究は、わが国の家庭科が抱える「子どもの学習評価」の問題を解決する示唆を得るために、多様な学力論を有する現代アメリカ家庭科における学習評価研究とその分析により、各家庭科学習論に対応した学習評価の実態とその特質・課題を明らかにすることを目的としている。 本年度は、研究の最終年度に当たり、当初の実施計画に基づき、次の4段階の研究を行った。 1.不足している資料を、前年度より継続して収集し、データ整理を行った。 2.研究対象として取り上げた典型的事例の分析を次の手順で行った。 (1)目標構造を整理し、評価すべき期待される学習成果とその評価の課題を明らかにした。 (2)具体的な評価活動の構造を明らかにするために、問題文あるいは選択肢などでの提示内容、子どもに求められる回答行為を、各々の評価問題・評価活動から抽出することを試みたが、評価として他の研究機関で開発されている問題を使用しているものと、教師用指導書・教科書に評価問題・活動を含んでいないものがあった。前者に関しては、検索を試みたが、入手できなかった。 (3)したがって、作問法・判定法などを理論化し、それらの評価活動の構成論理に関しては、十分に検討することができなかった。 (4)しかし、可能な範囲で、それらの評価活動を規定する家庭科学力論と社会的要請・背景などから、その評価理念を明らかにし、各々の評価研究の特質、意義、問題点を考察するように試みた。 3.2の分析・考察に際し、7月・12月に東京都で開催された家庭科教育学会、10月に福井で開催された社会科教育学会に出席し、家庭科および社会科の学力・評価研究に関する情報・資料収集を行った。 4.これまでの研究成果をまとめ、修正を加えると共に、本研究で残された課題を把握し、報告書としてまとめた。
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