本研究は、わが国の家庭科が抱える「子どもの学習評価」の問題を解決する示唆を得るために、多様な学力論を有する現代アメリカ家庭科における学習評価研究とその分析により、各家庭科学習論に対応した学習評価の実態とその特質・課題を明らかにすることを目的とした。 4年間の研究成果の概要は以下の通りである。 1.教科における評価の意味とこれまでの研究成果から、「教科としての家庭科の理念」を米国における家庭科の成立と展開から把握した。 2.米国における家庭科評価研究について、文献を検索し、そこに見られた1960年代の目標分類研究、1970年代の学力調査研究、1980〜90年代の学習成果研究の三種類の研究の特徴と問題点を検討した。 3.3の結果から、家庭科教育学研究としての評価研究の必要性を示し、それを実現するための家庭科の理念と学力の関係の分析から、学力モデルを作成し、それを枠組みとして用いる学習評価の分析方法を求めた。 4.3で明らかにした方法により、アメリカで最も古典的であると評されている家庭科プロジェクトTeen Guideを分析対象として、教科理論の異なる(1)第1版(1961)、(2)第4版(1977)、(3)第6版(1985)、第7版(1990)の家庭科を、全体計画、小単元の構成・展開、学習評価から分析した。 5.4の結果から、Teen Guideにみられる学習評価と家庭科理念の実現をまとめ、今後の課題を明らかにした。 本研究に関わる研究成果に関しては、今後、学会等において発表していきたいと考えている。
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