研究概要 |
本年度は3年間に及ぶ研究の最終年度に当たり,同年度の研究目的及び計画は,アメリカ・カリフォルニア州科学カリキュラムにおける知と学びの構造を明確にすると共に,これまでの研究で得られた知見に基づいて,カリフォルニア州科学カリキュラムの有効性について,日本の小学校で実際に検証することであった。研究目的及び計画に従って,次のように研究を実施した。 第一に,2003年版カリフォルニア州科学カリキュラムについて,物理科学領域を中心として,小学校各学年の目標及び内容を明らかにすることを試みた。その上で,2003年版カリフォルニア州科学カリキュラムと1990年版科学カリキュラムを比較することによって,両者の違いを明確にし,2003年版科学カリキュラムがどのように改訂されたのかを考察した。また授業レベルでの科学カリキュラムの実態をより明確に特徴づけるために,2005年からカリフォルニア州で採択されている小学校科学教科書『ハーコート科学(Harcourt Science)』の内容の分析検討を行った。 第二に,2005(平成17)年12月,広島大学附属東雲小学校において,『全米科学教育スタンダード(NSES)』(1996)に基づいて改訂された,2003年版カリフォルニア州科学カリキュラムに取り上げられている内容が,日本の子どもに適した形で学習指導可能かどうかを検証した。児童を対象として,学習前後において実施したアンケート調査によれば,第5学年の児童は理科教科書に取り上げられている以上に,多くの元素に関する知識を持っていることが分かった。実際の研究授業では,「周期表」を用いたゲームが導入された。この学習終了後に実施したアンケート調査の結果から,第5学年での理科学習において,「周期表」を導入する可能性が検証された。
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