1.本研究は1982年から2002年まで韓国で起こって来た日本の歴史教科書-歴史教育に対する批判の構造と、20年間のその構造の変化を明らかにすることを目的としている。 2.現在まで収集した、1982〜2002年間の韓国における日本の歴史教育批判に関するロー・データは次のようである。 (1)新聞記事 140件((5)の資料集のものとは別個) (2)新聞社説 126件 (3)新聞・雑誌などの時論・特集 92件((5)の資料集のものとは別個) (4)国会図書館整理の「日本の歴史教科書歪曲」資料 (5)「日本の教科書を正す運動本部」編集の資料1・2(新聞・週刊誌・月刊誌の一般記事・特集記事・地方自治団体の決議文など) 3.研究計画段階で批判の類型化のために設定していた、(1)egocentrismとreciprocityの視点、(2)事実・構造・価値のレベルという二つの指標ではデータ(批判)を分析、類型化することが困難であることが分って来た。この指標に基づく枠組みで見ると韓国における日本の歴史教育批判を千篇一律的にしかとらえることができなかったのである。 4.新たに次の4つの側面の指標を設定し、データの分析を試みている。 (1)批判の視野:egocentricity or reciprocity (2)批判の目的:国家的特殊性(ナショナリズム・愛国心など)の追求or地球社会的普遍性(平和・人権など)の追求 (3)-1 批判の内容的根拠:研究の成果or世論 ((3)-2 批判の内容的根拠:歴史研究の成果or教育研究(子どもの発達)の成果) (4)-1 批判の方法的根拠:事実関係重視or価値判断重視 ((4)-2 批判の方法的根拠:断片的情報or情報のコンテクスト) 5.各側面毎に分析しつつ、(1)〜(4)の相関関係を検討して行く。現在のところ、egocentricity-国家的特殊性-世論-価値判断をセットにした傾向が明らかになりつつある。
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