本年度の研究成果は以下の通りである。 1.日本の幼児教育合同調査2004年5月-米チーム招聘、日米チームによる千葉・長野の幼稚園教育実習調査と保育者養成課程調査。協議の結果、日米養成課程が描く初任保育者像における顕著な違いを、「日本:幼児の活動のよきモデル」「アメリカ:幼児に適した活動のファシリテーター」だという点に認めた。 2.カリフォルニア州の幼児教育調査2004年9月-オークランド市立保育施設、公・私立大学保育者養成課程調査ならびに同附属学校幼児教育カリキュラム調査。「FIRST FIVE」「BANANA」などの民間保育普及運動組織の訪問等を通じて、5歳未満児の教育機会の偏在と、著しい公・私の格差が明らかになった。 3.交流会とシンポジウムの主催-聖徳大学における学内交流会(5月)で、米チームは日米両国の保育者養成のあり方の特徴を対比しながら、「大学の養成課程における学習と幼児教育現場における実践を繋いでいるのは、日本では技術(skill)、アメリカでは理論(theory)である」という知見を述べ論議を呼んだ。国際幼児教育学会における企画シンポジウム(11月)では、日米2人の現場保育者が、それぞれの実践の相互ビデオ記録から得た知見を開陳し、保育者の子どもを観る目の異同と養成課程の関連について見解を述べるとともに、訪問経験によって「自らを振り返る新たな視点を得た」と述べた。 4.データ収集-前年に引き続き日米の保育ビデオ記録、保育実習生および現場保育者のインタビュー、日米メンバーの研究協議の録音記録を集積、保育者養成テキスト類。新しいデータとして、ビデオ利用による保育カンファレンスの実施とその録音記録、オークランド市の新統一カリキュラム教材と市立保育施設の指導計画など。
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