研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的の第1は、日本およびに米国の保育者の「学習観・カリキュラム観」についての共通認識の形成、第2は就学前カリキュラムの共同探求、第3は、実践的・臨床的「知」の日米交流の推進であった。3年間の研究期間に、日本2校、米国1校の保育者養成課程を対象とする事例研究を行った。相互訪問観察を繰り返し、ビデオ撮影と実習生・現場教師の半構造化インタビューを行い、率直な対話を重ね、その録画・録音記録を主なデータとした。文献調査は公私立保育者養成校の教育課程、カリフォルニア州の就学前教育の統計調査や資格制度、カリキュラムに関する規定、保育者養成テキストについて実施。日米両国で行った講演会・シンポジウム・研究発表は9回、研究会協議会や授業は20回を越える。全米附属学校協会での研究発表用にビデオを2本制作した。本研究で得た知見は以下の通り。保育者の「学習観・カリキュラム観」については、養成段階での学習がその形成に重要な役割を演じるが、日米の保育者養成課程の講義内容や実習の位置づけに大きな差は見出せなかった。違いの第一は、「保育技術」に託される役割である。実技科目は日本では大きな位置を占めるが、米国では置かれていない。これが、養成校における学びと現場での実践の繋ぎ方の違いを生む。日本では「保育技術」で繋ごうとするが、米国では「理論/思考」で繋ぐ。第二は、実習の方式と期間にある。米国では、長期・継続型であるが、日本ではサンドイッチ型で期間も短い。第三は、実習生の配属先の学級担任の役割と、実習生の扱いである。米国の学級担任は子どもと向き合って指導・援助し、実習生にもその役割を取らせる。日本の学級担任は、保育者は子どもの視点から状況を捉え、子どもの活動モデルとなるように振舞う傾向がある。実習生を子どもの背後に位置取らせ、子どもの役割を取らせる、といった扱いがその一因と思われる。文献調査から、米国の養成校の指導やテキストの記述と、カリフォルニア州のカリキュラム基準の間には大きな落差があり、それを埋める方策として、定型学習教材の現場導入の動きが認められた。
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