軽度発達障害児のなかで、本研究では特に言語性学習障害児の構音障害に焦点をあて、その改善のためにダイナミックパラトグラフを用いた訓練の効果を検討している。 平成15年度の研究では以下の点が明らかになった。 (1)被験者4名に共通する構音の異常は、無声破擦音、有声破裂音にみられた。 (2)異常構音については、舌の接触パタンが一定せず、どのパタンを典型パタンとすべきか特定が困難である。 (3)ダイナミックパラトグラフにおけるパタン表示と舌の動態との関連の理解が困難な被験者が2名いた。 (4)多変量解析による訓練前の構音地図は、パタン採取時によって変動が著しく((2)との関係)、安定した地図が得られていない。これは、従来、研究者が行ってきた各種の構音障害児には見られなかった現象であり、学習障害児特有の現象と考えられる。 (5)発話データ・サンプル採取のための検査者の指示に従うことは可能だが、決められたフレーズ以外の発話が付随し易く、ターゲットとする音のパラト・パタンの採取にかなりの時間を要する。これは(2)の原因の1つと言えるだろう。 (6)1名の被験者で、訓練前と後で、発話明瞭度が32%上昇し、学習効果があった。
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