本研究では、重度の発達障害をもつ自閉性障害のある児童・生徒の社会参加を高める教育支援法の開発を目的に3方向から接近しているが、平成15年度のそれぞれの研究活動について報告する。 1.長期にわたる一貫した継続的な支援法 北海道の知的障害者総合療育支援施設「おしまコロニー」を視察し、自閉性障害のある人への支援活動の現状を調査した。就労の場、生活の場、学校教育の場における自閉性障害のある人に対する支援方法の配慮について調査した。また、継続的な支援の核となる個別教育支援計画のなかで、計画づくりのためのアセスメント方法に関する項目の整理とデータ収集を行った。 2.地域生活を支える包括的な支援法 自閉性障害のある児童・生徒の地域生活を支えるために、地域での活動を補償するための地域資源の現状とその問題点について調査及び協議を行った。地域資源の現状は関係団体・機関などが発行する資料を収集・分析するとともに、A市において資源の実態と保護者のニーズ調査を行った。現状の課題については、日本特殊教育学会において自主シンポジウムを開催しNPO、養護学校、専門機関の関係者から活動報告と意見交換を行った。また、学校への充実した参加を実現するために、学校環境づくりの一環として教職員の専門的力量を向上するための支援方法に関する実証的研究を行った。加えて、香川大学教育学部附属養護学校の見学及びこれまで研究代表者が行った追跡研究のデータをもとに教育課程の課題について検討を行った。 3.自閉症の認知及び障害特性に依拠した支援法の開発 自閉性障害のある児童・生徒を対象に、学校や社会への参加を困難にする認知及び障害特性の把握とその支援法について臨床研究活動を実施した。予定や活動に関する概念理解を助け、地域での遂行を支援するツールとして情報携帯端末の利用について研究した。 次年度はいくつかの新規な研究活動を開始してさらに研究を進める予定である。
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