本研究では、重度の発達障害、特に自閉性障害のある児童・生徒の社会参加を高める教育支援法の開発を目的に3方向から接近している。平成15年度の研究を基盤に平成16年度はそれぞれ以下の研究活動を実施した。 1.長期にわたる一貫した継続的な支援法 昨年度に続き、国内外2カ所の視察を行った。1つは、アメリカのノースカロライナ州においてノースカロライナ大学TEACCH部を中心に行われている自閉性障害児者のための包括的な支援プログラムについて実地視察研究を行った。また国内では、TEACCHの考えを導入した学校教育実践を行っている佐賀大学文化教育学部附属養護学校を実地視察研究を行った。以上をもとに、自閉性障害のある人々に対する理解と支援のための環境設定について検討を行った。 2.地域生活を支える包括的な支援法 昨年度に引き続き、自閉性障害のある児童・生徒の地域生活を支えるための潜在的な地域資源について、調査対象地域を拡大し検討を行った。また、地域生活を支援するために家族、特にきょうだいに焦点をあてた支援プログラムの開発に関する実践的検討を行った。 3.自閉症の認知及び障害特性に依拠した支援法の開発 自閉性障害のある児童・生徒を対象に、学校や社会への参加を困難にする認知及び障害特性の把握とその支援法について臨床研究活動を実施した。予定や活動に関する概念理解を助け、社会性を高めるための支援方法についてそのプログラム開発を進めている。
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