研究概要 |
平成15年度は、県内の小中学校の教員に、まず学習障害についての知識を習得させ、学級に在籍する学習障害児を見分ける能力を育てることを目的とした。そこで、公立小学校の教員に、学習障害について充分な理解をしてもらうため、学校単位での講義や全県の教員を対象とした研修会を行った。その際、同じ教員に対して数回の研修の機会を設定し、連続的に学習してもらうことによって、学習障害についての深い理解をもたせる。 また、日本LD学会作成の、LD体験用教材を用いて、学習障害児の心理的体験をもたせるようにした。さらに、学習障害を疑われる児童生徒が受診する可能性を考えて、県内の小児科医を対象にした研修会を実施した。 次に、公立の大規模小学校1校と中規模校3校(児童数合計2,230名)を選んで、教師評価による学習障害児のスクリーニングを行った。ここでは、上野一彦による学習障害児の行動チェックリストとPRSを用いた。 スクリーニングテストで学習障害児の基準に合致し、LDサスペクトとなった児童67名の保護者に、児童に対する個別面接と詳細な神経心理学的チェックをすることの承諾を得るため、これらの児童に文書による依頼を行った。これとは別に、保護者に対しても、学習障害児について理解してもらうために、学校単位で講演会を実施し、学習障害や注意欠陥多動性障害、アスペルガー障害などについて講話した。 LDサスペクトとされ、保護者からの承諾が得られた児童全員に個別に面接し、WISC-III、K-ABC、DAM他の神経心理学的検査を行い、学習障害児の判断と共に、各児童の能力の特徴を明らかにした。 さらに、上記の検査結果と指導上の工夫などについて、保護者と教師に、個別にフィードバックした。 次年度は、これらの結果を基にして学習障害児の仲間関係と社会的適応の状況を明らかにする。
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