本研究は3年間で「1.話しことばと書きことばを明確に使い分ける力を育成するための教材開発」「2.論理的に考える力を育成するための教材開発」「3.文構造に対する理解を深めるための教材開発」「4.論理的な構成を備えた文章を書くための基礎力を培う教材開発」の4分野に取り組もうとするもので、平成16年度はその2年目にあたる。 昨年度の「1.」に引き続き本年度は「2.」および「3.」の2テーマに取り組んだ。当初は「2→3」という研究予定を組んでいたが、両者を明確に切り離すことは実際は不自然であるという判断から、両者を総合した教材開発を行った。教材開発にあたっては以下の視点を重視した。 (1):文中の接続詞・接続表現の適不適を判断することをねらいとする。 (2):文中の接続詞・接続表現によって規定される意味内容の検討をねらいとする。 (3):文中の接続詞・接続表現の階層性を理解することをねらいする。 (4):「読み取り」から「表現」へ移行できる力を養うことをねらいとする。 これらのうち、(2)に関わる教材はいわゆる「接続詞選択問題」の「○か、×か」という偏狭な正解主義を退け、学生の意識を変化させることに成功した。 本研究は授業場面を利用して実施しているという時間的制約のゆえに、(4)については十分に目標を達成したとはいいがたい。来年度は引き続きこの点の指導プログラム改善にも取り組む予定である。
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